明 細 書 芳香族ポリカーボネートおよびその製造法 技術分野
本発明は芳香族ポリカーボネートおよびその製造法に関する。 さらに詳しくは、 アルデヒド化合物の含有量の少ない芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル を原料とする、 エステル交換法による芳香族ポリ力一ポネ一トの製造法および得 られる色調および安定性の良好な芳香族ポリカーポネ一トに関する。 従来技術
成形性、 機械的強度、 無色透明性等の光学物性に関し他樹脂より優れている ポリカーボネートはオーディオディスク、 レーザ一ディスク、 光ディスクメモリ あるいは光磁気ディスク等、 レーザ一光を利用して情報の記録および Zまたは再 生を行う記録媒体透明基板、 あるいは透明シート、 レンズ等の素材として広く利 用されている。
ポリカーポネ一トは、 芳香族ジヒドロキシ化合物と力一ポネート結合形成性前 駆体とより製造される。 具体的製造法としては、 力一ポネート結合形成性前駆体 のホスゲンを直接反応させる界面重縮合法、 あるいは炭酸ジエステルをエステル 交換反応させる溶融重縮合法などが知られている。 このうち溶融重縮合法は界面 重縮合法と比較して、 安価にポリカーボネート測旨を製造できる等の利点を有す る。
日刊工業新聞社;プラスチック材料講座 (1 7 ) ポリカーボネート、 第 4章、 4 8— 5 3ページには、 従来公知のエステル交換触媒、 例えば水酸化ナトリウム などのアルカリ金属塩触媒を使用するエステル交換溶融重縮合法によるポリカー ボネートが開示されている。 これは 2 5 0 °Cあるいはそれ以上の高温度で、 1時 間あるいはそれ以上の時間をかけてフエノール、 芳香族ジヒドロキシ化合物ある いはジフエ二ルカーポネート等のモノマー成分を留去させて重合させて得られる
ため、 この重合の間に分岐、 分解等の各種の好ましくない副反応を伴なう。 この ような好ましくない副反応としては、 I n t e r s c i enc e Pub 1 i s he r s社, Chemi s t ry and Phys i c s o f Po l y— c a r bon a t e s " By H. S c h n e 1 1 P P 47 - 48 記載の脱炭酸反応やコルべシュミット類似反応などがある。 このような副反応が 生起すると得られるポリカーボネートに発色性不純物、 分岐構造が生成し、 また 得られるポリカーボネートは、 色調不良に加え、 分子中に本来の力一ポネート結 合以外の異種結合成分を含有するようになるため耐熱性、 耐加水分解性に劣るも のとなつたり、 あるいはゲル状物質を含有し、 均一性、:透明性に劣るものとなる 傾向があった。 _ このため溶融重合法で製造したポリカーボネートは界面重合法により製造した ポリカーボネートに比較して、 用途の面で制約を受けているのが現状である。 かかる問題を解決しようとして、 芳香族ポリカーボネートの製造用原料である 炭酸ジエステルおよび Zまたは芳香族ジヒドロキシ化合物中の金属不純物に注目 し、 Na、 Fe、 C rあるいは Mn等の元素含有量を減少させる方法 (特開平 5 -148355号公報および特開平 6— 32885号公報参照) あるいは加水分 解性塩素などの無機非金属イオン量を低減させる方法 (特開平 2— 153927 号公報参照) が提案されている。
一方、 炭酸ジエステルおよび/または芳香族ジヒドロキシ化合物中の有機性不 純物に関し、 芳香族ジヒドロキシ化合物、 例えば 2, 2—ビス (4—ヒドロキシ フエニル) プロパン (以下ビスフエノール Aと略称することが有る。) 中には、 "高純度化技術体系、 第 3巻 高純度物質製造プロセス (出版社 (株) フジ 'テ クノシステム) 149— 160ページ (1997)" および該文献中に記載され た引用文献に記載されている様に、 ベンゼン環含有の各種有機不純物が混入する ことがよく知られている。
カーポネ一卜結合形成性前駆体例えば炭酸ジエステルではコルべシュミツ卜反 応類似の分解反応生成物であるサリチル酸構造を有する不純物、 あるいはベンゾ
'骨格を有する不純物を含有する可能性も知られている。
これらビスフエノ一ル Aあるいは炭酸ジエステル不純物の有機性不純物と上記 金属性、 あるいは無機イオン性不純物との双方の存在量を制御し、 問題の解決を 図る提案 (欧州特許公開第 8 7 2 5 0 7号公報および特開平 7— 3 3 8 6 6号公 報参照) もなされている。 しかしながら、 得られるポリカーボネートは色相およ び安定性の両面より見て未だ十分に解決されたとはいえない状態である。 すなわ ち、 少なくとも工業的規模において色相、 安定性の両面より見て十分な解決が図 られているとは言えない状態にある。
さらにこれらの問題をエステル交換触媒種の面から解決を図ろうとする提案と して、 特開平 4— 8 9 8 2 4号公報には、 1 ) 含窒素塩基性化合物、 アルカリ金 属化合物および硼酸または硼酸エステルからなる触媒が開示され、 特開平 4— 4 6 9 2 8号公報には、 電子供与性ァミン化合物、 アルカリ金属化合物からなる触 媒が開示され、 また特開平 4—1 7 5 3 6 8号公報にはアルカリ金属触媒の存在 下溶融重縮合して生成されたポリ力一ポネ一ト中に、 酸性化合物およびエポキシ 化合物を添加する技術が開示されている。
しかし、 かかる従来なされてきた不純物の量規制、 あるいは触媒種選択による 方法では、 色相および安定性の両面において満足できる問題の解決には至ってい ない。 発明の開示
本発明の目的は、エステル交換法により、 色調および安定性の優れた芳香族ポ リカーポネートを製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、 色調および安定性に優れかつ分岐構造などの異種結合の 存在量が低水準にある芳香族ポリカーポネ一トを製造する方法を提供することに ある。
本発明のさらに他の目的は、 色調の点で特に優れた、 すなわち従来知られてい ない b値がマイナスの値を示す色調を備えた芳香族ポリカーポネ一トの製造法を 提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、 上記のごとく、 色調および安定性がともに優れた
芳香族ポリカーボネートを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、 以下の説明から明らかになろう。 本発明によれば、 本発明の上記目的および利点は、 第 1に、
ジヒドロキシィ匕合物と炭酸ジエステルとをエステル交換触媒の存在下〖こ溶融重縮 合させてポリカーボネートを製造する方法であって、 上記ジヒドロキシ化合物か らなる一方の原料として下記式 ( 1 )
…(
ここで、 R
1および R
2は、 それぞれ独立に、 炭素数 1〜2 0のアルキル基、 炭 素数 1〜2 0のアルコキシ基、 炭素数 6〜2 0のシクロアルキル基、 炭素数 6〜 2 0のァリール基、 炭素数 6〜 2 0のシクロアルコキシ基または炭素数 6〜 2 0 のァリールォキシ基であり、 mおよび nは互いに独立に 0〜4の整数であり、 X は単結合、 酸素原子、 カルボ二ル基、 炭素数 1〜2 0のアルキレン基、 炭素数 2 〜2 0のアルキリデン基、 炭素数 6〜2 0のシクロアルキレン基、 炭素数 6〜2 0のシクロアルキリデン基、 炭素数 6〜2 0のァリーレン基または炭素数 6〜2 0のおよぴ、基である、
で表されるジヒドロキシ化合物と上記式 ( 1 ) で表されるジヒドロキシ化合物 1 モル当り高々 3 X 1 0 6当量のアルデヒド基に相当する量のアルデヒド化合物 しか含有しない原料を用い、 そして炭酸ジエステルからなる他方の原料として炭 酸ジエステルと炭酸ジエステル 1モル当り高々 3 X 1 0 _ 6当量のアルデヒド基 に相当する量のアルデヒド化合物しか含有しない原料を用いることを特徴とする 芳香族ポリ力一ポネートの製造法によって達成される。
本発明によれば、 本発明の上記目的および利点は、 第 2に、
ここで、 R1および R2は、 それぞれ独立に、 炭素数 1〜20アルキル基、 炭素 数 1〜20のアルコキシ基、 炭素数 6〜20のシクロアルキル基、 炭素数 6〜2 0のァリール基、 炭素数 6〜 20のシクロアルコキシ基または炭素数 6〜20の ァリールォキシ基であり、 mおよび nは、 互いに独立に、 0〜4の整数であり、 Xは単結合、 酸素原子、 カルポニル基、 炭素数 1〜20のアルキレン基、 炭素数 2〜20のアルキリデン基、 炭素数 6〜 20のシクロアルキレン基、 炭素数 6〜 20のシクロアルキリデン基または炭素数 6〜 20のァリ一レン基または炭素数 6〜20のアルキレン—ァリーレン一アルキレン基である、
で表される繰返し単位から主としてなり、
粘度平均分子量 10, 000〜17, 000の範囲にあり、 そして波長 400 n mにおける吸光度と波長 430 nmにおける吸光度の平均値を、 波長 260 nm の吸光度で除した値が 1 X 10— 6〜20 X 10-6の範囲にある芳香族ポリカー ポネートからなりそして J I S K7105に従って測定した色相の b値が— 1. 0〜0. 0の範囲にある、
ことを特徴とする芳香族ポリ力一ポネートペレットによって達成される。 発明の好ましい実施態様
以下、 本発明を説明する。 先ず、 本発明方法を説明する。
本発明において、 ジヒドロキシ化合物からなる一方の原料は、 上記式 (1) で 表されるジヒドロキシ化合物と、 上記式 (1) で表されるジヒドロキシ化合物 1 モル当り高々 3X 10—6当量、 好ましくは高々 2X 10— 6当量、 より好ましく は高々 1 X 10— 6当量のアルデヒド基に相当する量のアルデヒド化合物しか含 有しない。 このようにアルデヒド化合物の含有量の少ない一方の原料は、 上記式
( 1 ) で表されるジヒドロキシ化合物 1モル当り 3 X 1 0— 6当量よりも多いァ ルデヒド基に相当する量のアルデヒド化合物を含む原料を接触水添する方法によ り好適に調製することができる。
また、 本発明において、 炭酸ジエステルからなる他方の原料は、 炭酸ジエステ ルと、 炭酸ジエステル 1モル当り高々 3 X 1 0—6当量、 好ましくは高々 2 X 1 0一6当量、 さらに好ましくは高々 1 X 1 0— 6当量のアルデヒド基に相当する量 のアルデヒド化合物しか含有しない。 このようにアルデヒド化合物の含有量の少 ない他方の原料は、 炭酸ジエステル 1モル当り 3 X 1 0— 6当量よりも多いアル デヒド基に相当する量のアルデヒド化合物を含む原料を接触水添する方法により 好適に調製することができる。
本発明において、 ジヒドロキシ化合物からなる一方の原料と炭酸ジエステルか らなる他方の原料とは、 その組合せで、 上記式 ( 1 ) で表されるジヒドロキシ化 合物 1モル当り、 好ましくは高々 3 X 1 0 —6当量、 より好ましくは高々 2 X 1 0 _ 6当量、 特に好ましくは 1 X 1 0 _6当量のアルデヒド基に相当する量のアル デヒド化合物しか含有していない。
ジヒドロキシ化合物からなる一方の原料と炭酸ジエステルからなる他方の原料 についての接触水素添加反応は、 両者を混合した混合物について実施することも できる。
接触水素添加反応は、 反応溶媒中、 触媒の存在下で好ましく実施される。
接触水素化に使用する触媒としては、 従来公知の不均一系触媒、 例えばパラジ ゥム一力一ボン、 白金一力一ボン、 パラジウムブラック、 ルテニウム一カーボン 等を好ましく使用できる。
接触水素添加処理時に使用する反応溶媒としては、 芳香族ジヒドロキシ化合物 の場合には、 低級アルコールが好ましく、 炭酸ジエステルの場合にはェ一テル系 溶媒が好ましい。 具体的には低級アルコ一ルとしてはメタノール、 エタノール、 ィソプロピルアルコール等が、 またェ一テル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、 ジォキサン、 エチレンダリコールジメチルェ一テルなどが好ましい。
かかる接触水素添加により、 容易にアルデヒド基含有量を 3 当量 Z ( 1モル
ージヒドロキシ化合物) 以下にまで低減することが可能である。 なお、 使用する 溶媒としては、 それ自体アルデヒド化合物を含有しないものが好ましい。 さらに 芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル中の特定金属成分を低い含有量 に制御するため、 かかる特定金属不純物含量の少ない電子工業用途向けの溶媒を 使用するのがより好ましい。
なおアルデヒド基含有量は、 " BUNS EKI KAGAKU Vo l 34 (1985) P314〜318"記載の蛍光誘導体化法により測定した。 該方 法のアルデヒド基検出限界は 0. 5X 10— 6当量 Zモル以下のレベルである。 かかるアルデヒド化合物には、 例えばホルムアルデヒド、 ァセトアルデヒド、 へキシルアルデヒドのごとき脂肪族アルデヒドおよび脂環式アルデヒド、 芳香族 アルデヒドなどが包含される。
かかるアルデヒド化合物は、 ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルの不純 物として含有されることが多い。
接触水素添加の後、 洗滌、 再結晶、 晶析、 昇華精製、 あるいは蒸留など従来公 知の精製法を行うことが好ましい。 とりわけ好ましくはこれらを組合せて行う方 法が推薦される。
また、 本発明において、 上記一方の原料は、 上記式 (1) で表されるジヒドロ キシ化合物 1モル当り、 好ましくは高々 3X 10— 6当量、 より好ましくは高々 2 X 1 0—6当量、 特に好ましくは高々 1 X 1 0— 6当量の力ルポキシル基に相当 するカルボン酸化合物しか含有しない。
かかるカルボン酸化合物には、 例えば蟻酸、 酢酸、 プロピオン酸、 蓚酸、 グリ コール酸、 リンゴ酸、 くえん酸、 酒石酸のごとき低級カルボン酸が包含される。 かかるカルボン酸化合物についての上記上限値以下の含有量は、 通常、 前記接触 水添後の上記洗滌等の精製法を行った際に達成できる。
上記式 (1) で表されるジヒドロキシ化合物としては、 例えば BPA、 ビス (4—ヒドロキシフエニル) メ ン、 ビス (4—ヒドロキシ一 3, 5—ジメチル フエニル) メタン、 1, 1—ビス (4—ヒドロキシフエニル) ェタン、 1, 1— ビス (4ーヒドロキシフエ二レ) 一 1一フェニ^)レエタン、 1, 1一ビス (4ーヒ
ドロキシフエ二 Jレ) プロパン、 2, 2—ビス (2—ヒドロキシフエニル) プロパ ン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシ一 3—メチルフエニル) プロパン、 2, 2- ビス (4—ヒドロキシ— 3, 5—ジメチルフエニル) プロパン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシ一 3, 5—ジブロモフエニル) プロパン、 2, 2—ビス (3— イソプロピル一 4—ヒドロキシフエニル) プロパン、 2, 2—ビス (4—ヒドロ キシ一 3—メチレフエニル) プロパン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシー 3—フ ェニルフエニル) プロパン、 2, 2—ビス (4ーヒドロキシフエニル) ブタン、
2, 2—ビス (4—ヒドロキシフエニル) 一3—メチルブタン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシフエニル) 一 3, 3—ジメチルブタン、 2, 4—ビス (4—ヒ ドロキシフエニル) —2—メチルブタン、 2, 2—ビス (4ーヒドロキシフエ二 ル) ペンタン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシフエニル) 一4—メチルペンタン、
3, 3—ビス (4—ヒドロキシフエ二レ) ペンタン、 1, 1—ビス (4—ヒドロ キシフエニル) シクロへキサン、 1, 1—ビス (4—ヒドロキシフエニル) 一3,
3, 5—トリメチルシクロへキサン、 9, 9一ビス (4—ヒドロキシフエ二ノレ) フルオレン、 9, 9一ビス (4—ヒドロキシ一 3—メチルフエニル) フルオレン、 ビス (4ーヒドロキシフエニル) サルファイド、 ビス (4—ヒドロキシフエ二 ル) スルホン、 4, 4' ージヒドロキシジフエニルスルホキシド、 4, 4' —ジ ヒドロキシジフエニルスルフイド、 4, 4' ージヒドロキシジフエ二ルケトン、
4, 4, ージヒドロキシジフエ二ルェ一テル、 八ィドロキノン、 2- t—ブチル ヒドロキノン、 レゾルシン、 4, 4' —ジヒドロキシジフエニルおよびそれらの 芳香環に例えばアルキル基、 ァリール基等が置換されたものが挙げられる。 なか でもコスト面から BPAが特に好ましい。 これらは単独で用いても 2種以上併用 してもよい。
上記ジヒドロキシ化合物からなる一方の原料は、 好ましくは直径 0. l〜3m mの範囲にある粒子が全体の 70重量%以上を占め、 比表面積が 0. 05〜0. 2m2Zgでありそして細孔容積が 0. 01〜0. lmlZgの球状粒子の形態 で用いられる。 粒径については、 直径 0. 1〜 2mmの範囲にある粒子が、 好ま しくは全体の 70重量%以上、 より好ましくは 80重量%以上、 特に好ましくは
90重量%以上を占めるものが有利に用いられる。 また、 直径 0. 1mm以下の 粒子が、 好ましくは全体の 10重量%以下、 さらに好ましくは 5重量%以下、 特 に好ましくは 3重量%以下を占めるものがさらに有利に用いられる。
比表面積が BET法により測定され、 さらに好ましくは 0. 05〜0. lm2 Zgである。
細孔容積は、 水銀圧込法により測定され (半径 100 nm〜600 mのピ一 クを粒子細孔分布とみなし、 それから求めた)、 好ましくは 0. 01〜0. 6m 1/gであり、 より好ましくは 0. 01〜0. 4ml/gであり、 特に好ましく は 0. 01〜0. OSmlZgである。
上記のごとき、 粒径分布、 比表面積および細孔分布を有する球状粒子として、 上記ジヒドロキシ化合物からなる一方の原料を用いることにより、 色調および透 明性が良好でかつ変動も小さい芳香族ポリカーボネートを得ることができる。 上記球状粒子の色相の L値および b値は、 それぞれ、 好ましくは 80以上およ び 2以下であり、 より好ましくは 83以上および 1. 5以下であり、 さらに好ま しくは 85以上および 1以下であり、 特に好ましくは 85以上および 0. 5以下 である。
炭酸ジエステルとしては、 置換されていてもよい炭素数 6〜10のァリール基、 ァラルキル基あるいは炭素数 1〜4のアルキル基などの炭酸ジエステルが挙げら れる。 具体的にはジフエ二ルカ一ポネート、 ジトリル力一ポネート、 ビス (クロ 口フエニル) 力一ポネート、 m—クレジルカーポネート、 ビス (ジフエニル) 力 —ボネート、 ジェチルカーポネート、 ジブチルカーボネートなどが挙げられる。 なかでもジフエ二ルカーポネートが好ましい。
上記炭酸ジエステルからなる他方の原料も、 上記ジヒドロキシ化合物からなる 一方の原料と同様に、 比表面積、 細孔容積は小さいほど好ましいが、 炭酸ジエス テルの場合ジヒドロキシィ匕合物に比較して、 安定性が良好であるため、 ジヒドロ キシ化合物のごとく、 粒度分布等を制御する必要性は小さい。 また融液として原 料が供給されることも多いのでこの場合当然ながら比表面積、 細孔容積を考慮す る必要性は小さい。
ジヒドロキシ化合物を上記のごとく球状粒子とすることにより上記効果が発現 する理由は明確でないが、 ジヒドロキシ化合物による品質悪化因子が、 粒子表面 およびとりわけ細孔内部に取り込まれ、 ジヒドロキシ化合物の品質を悪化させる ものと推定される。
本発明において、 製造されるポリカーボネートの耐久性、 色調、 透明性への影 響を考え、 原料中に不純物として上記アルデヒド基、 力ルポキシ基含有量の制御 に加えて、 F e、 C r、 Mn、 N i、 P b、 C u、 P d等の遷移金属元素、 A l、 T i等の金属、 半金族元素の微量金属元素含有量を 5 O p p b以下、 さらに好ま しくは l O p p b以下としたものが推奨される。
より耐久性に優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、 ジヒドロキシ化合 物からなる一方の原料および炭酸ジエステルからなる他方の原料には、 大きな工 ステル交換能を有するアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素が 各々 6 0 p p bでしか含有されないことが好ましい。
また、 耐久性により優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、 芳香族ジヒ ドロキシ化合物類、 カーボネート結合形成性前駆体中の、 アルカリ金属元素およ び/またはアルカリ土類金属元素の含有量が高々 6 0 p p b、 かつ遷移金属元素 濃度が高々 1 O p p bであることがさらに好ましい。
さらに両原料のそれぞれに含有される上記金属、 半金族元素含有濃度が高々 2 0 p p bであることが好ましい。
原料中のこのような遷移金属元素、 金属、 あるいは半金族元素の含有量は低い ほど好ましいが、 従来の技術の限界は 1 0 p p bを超えていた。 これが高々 1 0 p p bであるジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルを使用することで、 優れ た耐久性をもつ芳香族ポリカーポネ一トを得ることができる。
本発明において、 遷移金属、 金属、 半金族元素不純物の含有量が低減されたジ ヒドロキシ化合物からなる原料および炭酸ジエステルからなる原料を得るために は、 公知の精製方法、 例えば、 蒸留、 抽出、 再結晶、 昇華法などの種々の精製法 を用いることができる。 また、 さらに上記の精製法を種々組合せることがより好 ましい。
また、 本発明における金属不純物の少ないポリ力一ポネートを得るためには、 かかる原料の精製において、 金属不純物の含有量が極めて少ない高純度の溶媒を 用いるのが好ましく、 例えば電子工業用の溶媒などが使用できる。
本発明方法では、 上記のごとき原料が用いられ、 ジヒドロキシィ匕合物と炭酸ジ エステルとをエステル交換触媒の存在下に溶融重縮合させてポリカーポネ一トが 製造される。
エステル交換触媒としては a) 含窒素塩基性ィ匕合物および含リン塩基性化合物 よりなる群から選ばれる少なくとも 1種の塩基性化合物と b) アルカリ金属化合 '物およびアルカリ土類金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも 1種の金属 化合物の組合せが好ましく用いられる。
アル力リ金属化合物あるいはアル力リ土類金属化合物としては、 例えばアル力 リ金属およびアルカリ土類金属、 それぞれの水酸化物、 炭化水素化合物、 炭酸塩、 酢酸塩、 ステアリン酸塩、 安息香酸塩等のカルボン酸塩、 硝酸塩、 亜硝酸塩、 亜 硫酸塩、 シアン酸塩、 チォシアン酸塩、 水素化硼素塩、 リン酸水素化物、 次亜リ ン酸塩、 ビスフエノール、 フエノールの塩等が挙げられる。
具体例としては水酸ィ匕ナトリウム、 炭酸水素カリウム、 炭酸ナトリウム、 炭酸 カリウム、 炭酸セシウム、 酢酸リチウム、 硝酸ルビジウム、 硝酸リチウム、 亜硝 酸ナトリウム、 亜硫酸ナトリウム、 シアン酸ナトリウム、 シアン酸カリウム、 チ オシアン酸ナトリウム、 チォシアン酸カリウム、 チォシアン酸セシウム、 ステア リン酸ナトリウム、 水素化硼素ナトリウム、 水素化硼素カリウム、 水素化硼素リ チウム、 フエニル化硼素ナトリウム、 安息香酸ナトリウム、 リン酸水素ジナトリ ゥム、 リン酸水素ジカリウム、 次亜リン酸リチウム、 次亜リン酸ナトリウム、 次 亜リン酸カリウム、 次亜リン酸ルビジウム、 次亜リン酸セシウム、 次亜リン酸パ リウム、 次亜リン酸セシウム、 ビスフエノール Aのジナトリウム塩、 モノ力リウ ム塩、 ナトリウムカリウム塩、 フエノールのカリウム塩などが挙げられる。
上記のうち、 好ましくは、 アルカリ金属化合物はアルカリ金属次亜リン酸塩で ありそしてアル力リ土類金属化合物はアル力リ土類金属次亜リン酸塩である。 上記金属化合物は、 好ましくはジヒドロキシ化合物 1モル当り 5 X 1 0一8〜
5 X 1 0一6当量の割合で用いられる。
また、 本発明においては触媒として使用する上記アルカリ金属化合物として、 特開平 7— 2 6 8 0 9 1号公報に記載の (ァ) 周期律表第 1 4族元素のアート錯 体アルカリ金属塩または (ィ) 周期律表第 1 4族元素のォキソ酸のアルカリ金属 塩を用いることができる。 ここで周期律表第 1 4族の元素とは、 ゲイ素、 ゲルマ 二ゥム、 スズのことをいう。
かかるアル力リ金属化合物を重縮合反応の触媒として用いることにより、 重縮 合反応を迅速にかつ十分に進めることができる利点を有する。 また重縮合反応中 に進行する分岐反応のような好ましくない副反応を低いレベルに押さえることが できる。
また、 本発明の重縮合反応には、 上記触媒と一緒に、 必要により周期律表第 1 4属元素のォキソ酸、 酸化物および同元素のアルコキシド、 フエノキシドより成 る群から選ばれる少なくとも、 一種の化合物を助触媒として共存させることがで きる。 これらの助触媒を特定の割合で用いることにより末端の封鎖反応、 重縮合 反応速度を損なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、 主鎖開裂反応 や、 成形加工時における装置内での異物の生成、 焼けといった好ましくない現象 を効果的に抑止でき本発明の目的に好ましい。
周期律表第 1 4族のォキソ酸としては、 例えばケィ酸、 スズ酸、 ゲルマニウム 酸を挙げることができる。
周期律表第 1 4族の酸化物としては、 二酸化ケイ素、 二酸化スズ、 二酸ィ匕ゲル マニウム、 シリコンテトラメトキシド、 シリコンテトラフエノキシド、 テトラエ トキシスズ、 テトラノニルォキシスズ、 テ卜ラフエノキシスズ、 テトラブトキシ ゲルマニウム、 テトラフエノキシゲルマニウムおよびこれらの縮合体を挙げるこ とができる。
助触媒は重縮合反応触媒中のアル力リ金属元素 1モル原子当り、 周期律表第 1 4族の元素が 5 0モル原子以下となる割合で存在せしめるのが好ましい。 同金属 元素が 5 0モル原子を超える割合で助触媒を用いると、 重縮合反応速度が遅くな り好ましくない。
助触媒は、 重縮合反応触媒のアル力リ金属元素 1モル原子当り助触媒としての 周期律表第 1 4族の元素が 0 . 1〜 3 0モル原子となる割合で存在せしめるのが さらに好ましい。
さらに、 触媒としては、 含窒素塩基性ィ匕合物および含リン塩基性化合物が用い られる。 これらの化合物は 1種あるいは 2種以上で用いられる。
含窒素塩基性化合物としては、 例えばテトラメチルアンモニゥムヒドロキシド、 テトラプチルアンモニゥムヒドロキシド、 ベンジルトリメチルアンモニゥムヒド 口キシドなどのアルキル、 ァリ一ル、 アルキルァリール基などを有するアンモニ ゥムヒドロキシド類;テトラメチルアンモニゥムアセテート、 テトラエチルアン モニゥムフエノキシド、 テトラプチルアンモニゥム炭酸塩、 ベンジルトリメ,チレ アンモニゥム安息香酸塩などのアルキル、 ァリール、 アルキルァリール基などを 有する塩基性アンモニゥム塩; トリェチルァミン、 ジメチルペンジルァミンなど の第 3級ァミン、 あるいはテトラメチルアンモニゥムポロハイドライド、 テトラ プチルアンモニゥムポロハイドライド、 テトラメチ»レアンモニゥムテトラフエ二 ルポレートなどの塩基性塩などを挙げることができる。
含リン塩基性化合物としては、 例えばテトラブチルホスホニゥムヒドロキシド、 ベンジルトリメチルホスホニゥムヒドロキシドなどのアルキル、 ァリール、 アル キルァリ一ル基などを有するホスホニゥムヒドロキシド類;あるいはテ卜ラメチ ルホスホニゥムポロハイドライド、 テトラブチルホスホニゥムポロハイドライド、 テトラメチルホスホニゥムテトラフェニルポレートなどの塩基性塩などを挙げる ことができる。
上記含窒素塩基性窒素化合物あるいは含リン塩基性化合物の使用量は、 塩基性 窒素原子あるいは塩基性リン原子がジヒドロキシ化合物 1モルに対し、 1 X 1 0一5〜 1 X 1 0— 3当量となる割合で用いるのが好ましい。 より好ましい使用割 合は同じ基準に対し 2 X 1 0一5〜 5 X 1 0— 4当量となる割合である。 特に好ま しい割合は同じ基準に対し 5 X 1 0— 5〜5 X 1 0— 4当量となる割合である。
特にこの時、 得られるポリカーボネートの色相を良好にするためには、 含窒素 塩基性窒素化合物あるいは含リン塩基性化合物使用量を原料のジヒドロキシ化合
物および炭酸ジエステル中に含有される鉄分合計量; F e* (wt p p bで表 す) に対し 20 X (Fe*) +20 O 当量を超えないように、 使用すると有効 であることが見出された。 特に好ましくは 20 X (Fe*) + 150を超えない 範囲である。
理由は明確ではないが、 原料含窒素塩基性窒素化合物あるいは含リン塩基性ィ匕 合物中含有される鉄分が含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物 と何らかの相互作用をしてポリカーボネートの色調を悪ィ匕させるものと推定され る。 かかる意味において各種金属不純物含量はできる限り減少させておくのが好 ましい。
溶融重合法は常圧および Zまたは減圧窒素雰囲気下でジヒドロキシ化合物と炭 酸ジエステルとを加熱しながら攪拌して、 生成するアルコールまたはフエノール を留出させることで行われる。 その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、 反応により生成するアルコールまたはフエノールを除去するため通常 120〜3 50での範囲である。
反応後期には系を減圧にして生成するアルコールまたはフエノールの留出を容 易にさせる。 反応後期の系の内圧は、 好ましくは 133. 3P a (ImmHg) 以下であり、 より好ましくは 66. 7 P a (0. 5mmHg) 以下である。
溶融重合においては、 前記したごときジヒドロキシ化合物 (芳香族ジヒドロキ シ化合物) および炭酸ジエステルの他に、 所望により、 以下のごとき他の共重合 性化合物を用いて、 ポリカーボネート主鎖中に組込むことができる。
かかる他の共重合性化合物としては、 例えば、 エチレングリコール、 1, 4一 ブタンジーオール、 ポリエチレングリコール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノ ール、 3, 9一ビス (1, 1—ジメチル一 2—ヒドロキシェチル) —2、 4, 8, 10—テトラオキサスピロ [5. 5] ゥンデカン、 トリシクロ (5. 2. 1. 0 2' 6) デカンジメタノール、 トリメチロールプロパン、 ペン夕エリスリ! ル等 の脂肪族、 脂環式のジオール、 ポリオール類; 1, 1, 1—トリス (4ーヒドロ キシフエニル) ェタン、 1, 1, 2, 2—テトラキス (3—メチルー 4ーヒドロ キシフエニル) ェタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物類;乳酸、 パラヒドロキ
シ安息香酸、 6—ヒドロキシ一 2—ナフトェ酸等の脂肪族、 芳香族のォキシカル ボン酸類;および琥珀酸、 フマル酸、 アジピン酸、 ドデカン二酸、 テレフタル酸、 2, 6—ナフタレンジカルボン酸、 ピロメリット酸、 トリメリット酸等のジカル ボン酸類、 ポリカルボン酸類等を挙げることができる。
溶融重縮合法によって反応させてポリ力一ポネ一トを製造するに当っては、 必 要に応じて、 末端停止剤、 立体障害フエノール等の酸化防止剤等を使用してもよ い。 また本発明のポリ力一ポネートは三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重 合した分岐ポリ力一ポネート、 芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重 合したポリエステル力一ポネートをも包含するものである。また得られたポリ力 —ポネートの 2種以上を混合して混合物としてもよい。
ポリ力一ポネ一トの分子量は、 基板材料としては、 粘度平均分子量 (M) で 1 0, 000〜22, 000が好ましく、 12, 000〜20, 000がより好ま しく、 13, 000〜 18, 000が特に好ましい。 かかる粘度平均分子量を有 するポリカーボネートは、 光学用材料として十分な強度が得られ、 また、 成形時 の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。 またシートなどの透明 用途においては、 粘度平均分子量 17, 000〜: L 00, 000の範囲が、 さら に好ましくは 20, 000〜80, 000の範囲が選択される。
本発明によれば、 特に、 光ディスク基板の製造に好適なポリカーボネートとし て、 上記のごとく、 下記式 (2)
ここで、 R1および R2は、 それぞれ独立に、 炭素数 1〜 20アルキル基、 炭素 数 1〜20のアルコキシ基、 炭素数 6〜 20のシクロアルキル基、 炭素数 6〜2 0のァリール基、 炭素数 6〜 20のシクロアルコキシ基または炭素数 6 ~20の
ァリ一ルォキシ基であり、 mおよび nは、 互いに独立に、 0〜4の整数であり、 Xは単結合、 酸素原子、 カルポニル基、 炭素数 1〜2 0のアルキレン基、 炭素数 2〜2 0のアルキリデン基、 炭素数 6〜2 0のシクロアルキレン基、 炭素数 6〜 2 0のシクロアルキリデン基または炭素数 6〜2 0のァリーレン基または炭素数 6〜2 0のアルキレン—ァリーレン一アルキレン基である、
で表される繰返し単位から主としてなり、
粘度平均分子量 1 0, 0 0 0〜1 7, 0 0 0の範囲にあり、 そして波長 4 0 O n mにおける吸光度と波長 4 3 0 nmにおける吸光度の平均値を、 波長 2 6 0 nm の吸光度で除した値が 1 X 1 0— 6〜2 0 X 1 0— 6の範囲にある芳香族ポリカー ポネートからなりそして J I S K 7 1 0 5に従って測定した色相の b値が— 1 . 0〜0. 0、 好ましくは一 0. 5〜0. 0の範囲にある、
ことを特徴とする芳香族ポリ力一ポネ一トがペレツトとして提供される。
本発明においては、 分子量の低下や着色の起こりにくい芳香族ポリカーボネー トを得るために、 溶融ポリマーの粘度安定性に注目した。 溶融粘度安定性は、 窒 素気流下、 せん断速度 1 r a d/ s e c , 3 0 0 °Cで 3 0分間測定した溶融粘度 の変ィ匕の絶対値で評価し、 1分当りの変化率で表す。 この値を 0. 5 %以下にす ることが好ましい。 この値が大きいとポリカーボネートの加水分解劣化が促進さ れることがある。 本発明者は、 実際的な耐加水分解安定性を確保するためには、 この値を 0. 5 %にしておくと十分であると判断している。 そのために特に重合 後に溶融粘度安定化剤を用いて溶融粘度を安定化することが好ましい。
本発明における溶融粘度安定化剤は、 ポリカーポネ一ト製诲時に使用する重合 触媒の活性の一部または全部を失活させる作用もある。
溶融粘度安定化剤を添加する方法としては、 例えば重合後にポリマーが溶融状 態にある間に添加してもよいし、 一旦ポリカーボネートをペレタイズした後、 再 溶解し添加してもよい。 前者においては、 反応槽内または押出機内の反応生成物 であるポリ力一ポネートが溶融状態にある間に溶融粘度安定化剤を添加してもよ いし、 また重合後得られたポリカーボネートが反応槽から押出機を通ってペレ夕 ィズされる間に、 溶融粘度安定化剤を添加して混練することもできる。
溶融粘度安定化剤としては公知の剤が使用できる。 得られるポリマーの色相や 耐熱性、 耐沸水性などの物性の向上に対する効果が大きい点から、 有機スルホン 酸の塩、 有機スルホン酸エステル、 有機スルホン酸無水物、 有機スルホン酸べ夕 ィンなどのスルホン酸ィ匕合物、 なかでもスルホン酸のホスホニゥム塩および/ま たはスルホン酸のアンモニゥム塩を使用することが好ましい。 そのなかでも特に、 ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニゥム塩ゃパラトルエンスルホ ン酸テトラプチルアンモニゥム塩などが好ましい例として挙げられる。
上記芳香族ポリカーポネ一トは、 主たる末端基がァリールォキシ基とフエノ一 ル性水酸基とからなりかつフエノール性水酸基濃度が 6 0モル%以下であること が好ましく、 4 0モル%以下であることがさらに好ましく、 3 0モル%以下であ ることが特に好ましい。 かかる量比でフェノール性末端基を含有することにより、 本発明の目的をより一層好適に達成できるとともに、 組成物の成形性 (金型汚れ 性、 離型性;以下単に成形性と略称する) もまた向上する。
ァリールォキシ基としては炭素数 1〜 2 0の炭化水素基で置換されたフエニル ォキシ基あるいは無置換フエニルォキシ基が好ましい。 棚旨熱安定性の点から、 第 3級アルキル基、 第 3級ァラルキル基またはァリ一ル基で置換されたフエニル ォキシ基あるいは無置換フエニルォキシ基が好ましい。
好ましいァリールォキシ基の具体例としては、 フエノキシ基、 4 _ t—ブチル フエニルォキシ基 4― t一アミルフエニルォキシ基、 4—フエニルフエ二ルォキ シ基、 4—クミルフエニルォキシ基等である。
界面重合法では分子量調節剤により末端フェノール性水酸基は低い濃度に押さ えられるが、 溶融重合法においては、 化学反応論的に末端フエノール性水酸基が
5 0モル%を中心に 6 0モル%、 あるいはそれ以上のものも製造されやすいため、 積極的に末端水酸基を減少させる必要がある。
すなわち末端水酸基濃度を上記範囲内にするには、 以下記述する従来公知の 1 ) あるいは 2 ) の方法で達成しうる。
1 ) 重合原料仕込みモル比制御法;重合反応仕込み時の炭酸ジエステル ジヒ ドロキシ化合物のモル比を高めることにより、 例えば重合反応装置の特徴を考え
1 . 0 1から 1 . 1 0の間に設定する。
2 ) 末端封止法;重合反応終了時点において例えば、 米国特許第 5 6 9 6 2 2 2号明細書記載の方法に従い、 上記文献中記載のサリチル酸エステル系化合物に より末端水酸基を封止する。
サリチル酸エステル系化合物により末端水酸基を封止する場合の、 サリチル酸 エステル系化合物の使用量は封止反応前の末端水酸基、 1化学当量当り 0 . 8〜 1 0モル、 より好ましくは 0 . 8〜5モル、 特に好ましくは 0 . 9〜2モルの範 囲である。 かかる量比で添加することにより、 末端 OH基の 8 0 %以上を好適に 封止することができる。 また本封止反応を行う時、 上記米国特許記載の触媒を使 用するのが好ましい。
末端水酸基濃度の低減は、 重合触媒を失活させる以前の段階において好ましく 実施される。
該サリチル酸エステル系化合物としては、 米国特許第 5 6 9 6 2 2 2号明細書 記載のサリチル酸エステル系化合物が好ましく使用でき、 具体的には、 2—メト キシカルポニルフエニル—フエ二ルカ一ボネート、 のごとき 2—メトキシカルポ ニルフエニルァリ一ルカ一ポネート類、 2—メトキシカルボニルフエ二ルーラウ リル力一ポネートのごとき 2—メトキシカルポニルフエニル一アルキル力一ポネ ート類、 2—エトキシカルポニルフエ二ルーフエ二ルカ一ポネートのごとき 2— ェトキシカルボニルフエ二ルーァリール力一ポネート類、 2—ェトキシカルポ二 ルフエ二ルーォクチルカ一ポネートのごとき 2—エトキシカルポニルフエニル— アルキルカーポネ一ト類、 (2—メトキシカルポニルフエニル) ベンゾェ一トの ごとき芳香族カルボン酸の (2, ーメトキシカルポニルフエニル) エステル、 ( 2—メトキシカルポニルフエニル) ステアレート、 ビス (2—メトキシカルポ ニルフエニル) アジペートのごとき脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。 上記の方法により芳香族ポリカーボネートが得られる。 これを用いて各種成形 品を成形する場合に用途に応じて従来公知の加工安定剤、 耐熱安定剤、 酸化防止 剤、 紫外線吸収剤、 帯電防止剤、 難燃剤、 離型剤などを添加することができる。 また、 芳香族ポリカーボネートの分子量の低下や色相の悪化を防止するために
各種安定剤を配合することができる。 かかる熱安定剤としては、 例えば次亜リン 酸、 亜リン酸、 リン酸、 亜ホスホン酸、 ホスホン酸、 これらの塩およびこれらの エステル、 立体障害アミン抗酸化剤、 立体障害フエノール抗酸化剤、 炭素ラジカ ル捕捉剤等が挙げられる。 例えばトリスノエルフエニルホスファイト、 トリス ( 2, 4—ジ一 t—ブチルフエニル) ホスファイト、 リン酸 2水素テトラブチル ホスホニゥム塩、 4 , 4 ' ービフエ二レンジホスホスフィン酸テトラキス (2, 4ージ— t—ブチルフエ二ル)、 トリメチルホスフェートおよびベンゼンホスホ ン酸ジメチル、 5, 7—ジ— tーブチルー 3— ( 3 , 4—ジメチルフエニル) ― 3 H—ベンゾフラン一 2—オン、 n—ォクタデシル 3— ( 3 , 5—ジ一 t—ブ チル— 4—ヒドロキシフエニル) プロピオネート、 2— t—プチルー 6— ( 3— tーブチリレ一 2—ヒドロキシ一 5—メチルベンジル) 一 4—メチルフエ二ルァク リレート等が好ましく使用される。 これらの熱安定剤は、 単独でもしくは 2種以 上混合して用いてもよい。 かかる熱安定剤の配合量は、 芳香族ポリ力一ポネート 1 0 0重量部に対して 0 . 0 0 0 1〜1重量部が好ましく、 0. 0 0 0 2〜0. 5重量部がより好ましく、 0. 0 0 0 5〜0 . 1重量部がさらに好ましい。 また、 芳香族ポリ力一ポネ一トには溶融成形時の金型からの離型性をより向上 させるために、 離型剤を配合することも可能である。 かかる離型剤としては、 ォ レフィン系ワックス、 カルボキシル基および Zまたはカルボン酸無水物基を含有 するォレフィン系ワックス、 シリコーンオイル、 オルガノポリシロキサン、 一価 または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、 パラフィンワックス、 蜜蠟等が挙 げられる。 かかる離型剤の配合量は、 芳香族ポリカーボネート 1 0 0重量部に対 し、 0 . 0 1〜 5重量部が好ましい。
高級脂肪酸エステルとしては、 炭素原子数 1〜2 0の一価または多価アルコー ルと炭素原子数 1 0〜3 0の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであ るのが好ましい。 かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステ ルまたは全エステルとしては、 ステアリン酸モノグリセリド、 ステアリン酸トリ グリセリド、 ペン夕エリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。 かかる離型剤の配合量は、 芳香族ポリカーボネート 1 0 0重量部に対し、 0 . 0
1〜 5重量部が好ましい。
さらに、 芳香族ポリカーボネートには、 剛性などを改良する為に無機および有 機充填材を配合することが可能である。 かかる無機充填材としては、 例えばタル ク、 マイ力、 ガラスフレーク、 ガラスビーズ、 炭酸カルシウム、 酸化チタン等の 板状または粒状の無機充填材ゃガラス繊維、 ガラスミルドフアイパー、 ワラスト ナイト、 カーボン繊維、 ァラミド繊維、 金属系導電' f生繊維等の繊維状充填材、 架 橋アクリル粒子、 架橋シリコーン粒子等の有機粒子を挙げることができる。 これ ら無機および有機充填材の配合量は芳香族ポリ力一ポネート 1 0 0重量部に対し て 1〜 1 5 0重量部が好ましく、 3〜: L 0 0重量部がさらに好ましい。
また、 使用可能な無機充填材はシラン力ップリング剤等で表面処理されていて もよい。 この表面処理により、 芳香族ポリカーボネートの分解が抑制されるなど 良好な結果が得られる。
芳香族ポリ力一ポネ一トには、 さらに他の樹脂を配合することもできる。
かかる他の樹脂としては、 例えば、 ポリアミド樹脂、 ポリイミド樹脂、 ポリエ 一テルイミド榭脂、 ポリウレタン樹脂、 ポリフエ二レンエーテル樹脂、 ポリフエ 二レンスルフイド樹脂、 ポリスルホン樹脂、 ポリエチレン、 ポリプロピレン等の ポリオレフイン樹 J3旨、 ポリエチレンテレフタレ一ト、 ポリブチレンテレフタレー ト等のポリエステル樹脂、 非晶性ポリアリレート樹 B旨、 ポリスチレン樹脂、 ァク リロ二卜リル Zスチレン共重合体 (A S樹脂)、 アクリロニトリル /ブタジエン /スチレン共重合体 (AB S樹脂)、 ポリメタクリレート樹脂、 フエノール樹脂、 ェポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明で得られる芳香族ポリ力一ポネートは、 色調、 耐久性、 特に厳しい温湿 条件下での長時間の耐久性を保持する効果が得られる。 該ポリマーを使用して得 られたコンパクトディスク (C D)、 C D - R OM, CD - R, CD— RW等、 マグネット ·オプティカルディスク (M〇) 等、 デジタルバーサタイルディスク
(DVD -ROM, DVD— V i d e o、 DVD— Au d i o、 DVD - R, D VD— RAM等) で代表される高密度光ディスク用の基板は長期に渡って高い信 頼性が得られる。 特にデジタルバーサタイルディスクの高密度光ディスクに有用
である。
本発明で製造される芳香族ポリカーボネートからのシートは、 接着性や印刷性 に優れ、 その特性を生かして電気部品、 建材部品、 自動車部品等に広く利用され る。 具体的には各種窓材すなわち一般家屋、 体育館、 野球ドーム、 車両 (建設機 械、 自動車、 バス、 新幹線、 電車車両等) 等の窓材のグレージング製品、 また各 種側壁板 (スカイドーム、 トップライト、 アーケード、 マンションの腰板、 道路 側壁板)、 車両等の窓材、 OA機器のディスプレーゃタツチパネル、 メンブレン スィッチ、 写真カバ一、 水槽用ポリカーボネート樹脂積層板、 プロジェクシヨン テレビやプラズマディスプレイの前面板ゃフレンネルレンズ、 光カード、 光ディ スクゃ偏光板との組合せによる液晶セル、 位相差補正板等の光学用途等に有用で ある。 かかる芳香族ポリカーボネートシートの厚みは特に制限する必要はないが、 通常 0 . 1〜: L 0 mm、 好ましくは 0 . 2〜8 mm、 0 . 2〜3 mmが特に好ま しい。 また、 かかる芳香族ポリ力一ポネートシートに、 新たな機能を付加する各 種加工処理 (耐候性を改良するための各種ラミネート処理、 表面硬度改良のため の耐擦傷性改良処理、 表面のしぼ加工、 半および不透明化加工等) を施してもよ い。
芳香族ポリカーボネートに前記の各成分を配合するには、 任意の方法が採用さ れる。 例えばタンブラ一、 V型プレンダー、 スーパーミキサー、 ナウ夕一ミキサ ―、 バンパリ一ミキサー、 混練ロール、 押出機等で混合する方法が適宜用いられ る。 こうして得られる芳香族ポリ力一ポネート樹脂組成物は、 そのまままたは溶 融押出機で一旦ペレツト状にしてから、 溶融押出法でシート化する。
射出成形に供するためのペレツト状ポリカーボネート樹脂を得る押出工程 (ぺ レツト化工程) では溶融状態の時に濾過精度 1 0 の焼結金属フィルターを通 すなどして異物を除去することが好ましい。 必要により、 例えばリン系等の酸化 防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。 いずれにしても射出成形前の原料 樹脂は異物、 不純物、 溶媒などの含有量を極力低くしておくことが望ましい。 上記ポリカーボネート翻旨より光ディスク基板を製造する場合には射出成形機 (射出圧縮成形機を含む) を用いる。 この射出成形機としては一般的に使用され
ているものでよいが、 炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点 からシリンダーやスクリューとして樹脂との付着性が低ぐ かつ耐食性、 耐摩耗 性を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。 射出成形の条件として はシリンダー温度 3 0 0〜 4 0 0 °C、 金型温度 5 0〜 1 4 0 °Cが好ましく、 これ. らにより光学的に優れた光ディスク基板を得ることができる。 成形工程での環境 は、 本発明の目的から考えて、 可能な限りクリーンであることが好ましい。 また、 成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、 溶融樹脂の分解を招く ような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
本発明で製造される芳香族ポリカーボネートはいかなる用途に使用してもよぐ 例えば電子'通信器材、 OA機器、 レンズ、 プリズム、 光ディスク基板、 光ファ ィバ一などの光学部品、 家庭電器、 照明部材、 重電部材などの電子'電機材料、 車両内外装、 精密機械、 絶縁材などの機械材料、 医療材料、 保安'保護材料、 ス ポーッレジャー用品、 家庭用品などの雑貨材料、 容器'包装材料、 表示'装飾材 料など、 また他の樹脂や有機 ·無機材料との複合材料として好適に用いることが できる。 実施例
以下実施例を挙げて、 さらに説明するが、 本発明はこれらの実施例により限定 されるものではない。
実施例中 「部」 とあるのは 「重量部」 を意味する。 分析法
実施例により製造した芳香族ポリカ一ポネートの試験方法は以下の方法によつ た。
1 ) 粘度平均分子量 (MW)
試料 3 5 O mgを塩化メチレン 5 0 m lに溶解した溶液粘度を、 2 0 °Cでウベ ローデ粘度計により測定、 これより求めた固有粘度 ([ 7? ] ) より、 以下の式によ つて計算によって求めた。
[77] =1. 23X 10 -4 XMw0' 83
2) 金属不純物含有量の測定法
装置:セイコー電子工業 (株) 製 I CP— MS SPQ 9000
サンプル濃度:試料 (0. 5 g) を電子工業用高純度イソプロピルアルコール (25 g) に溶解、 測定、 標準試料検量線により定量する。
3) 溶融粘度安定性
レオメトリックス社製 RAA型 流動解析装置を用いて、 窒素気流下、 せん 断速度 I r adZs e c. 300 °Cで測定した溶融粘度の変化の絶対値を 30分 測定し、 1分当りの変化率を求め溶融粘度安定性とした。
芳香族ポリカーボネートの長時間安定性が良好であるためには、 この値が 0. 5%を超えてはならない。
4) アルデヒド量の定量
BUNSEKI KAGAKU Vo l. 34 P314〜318 記載の方 法にならい、 シクロへキサン一 1, 3—ジオン (以下 DHAと略称する) との蛍 光誘導体化を利用し、 脂肪族アルデヒドの高速液体クロマトグラフィ一により測 定した。 所定量のァセトアルデヒドと DHAとの誘導体を作成アルデヒド量定量 の基準物質とした。
次いで試料約 0. l gを精秤、 これに上記文献記載の DHA誘導体化試薬溶液 2 mlを添加、 6 Otで 30分間反応させ、 試料中のアルデヒドを DHA誘導体 ィ匕した。 試料中 440 nmの蛍光強度を基準物質の 440 nmの蛍光強度と比較、 試料中のアルデヒドを全てァセトアルデヒドとみなし、 アルデヒド官能基量 (当 量 1モル—ジヒドロキシィ匕合物または 1一モル炭酸ジエステル化合物) として 疋虽しこ。
本方法でのアルデヒド検出は上記文型分析例に記載のように 0. 03 p p mで も可能である。 '
5) 力ルポキシ基含有量の定量:イオンクロマトグラフィーによる測定
試料約 5 gを精秤、 蓋つきポリエチレン容器に秤採し、 純水 20mlを加え、 容器に蓋をした後、 80 °Cで 16時間抽出処理を行つた。次いで超音波で 30分
間処理した後、イオンクロマトグラフ用 0. 45 mメンブレンフィルターで濾 過し測定用溶液を得た。 本溶液をイオンク口マトグラフィ一で分析した。
なお、 試料を入れないで同様の処理を行った溶液の分析値をブランク値とした。 測定条件
カラム: I onp a CAG4A— SCZAS4A— SC
溶離液: 1. 8 OmM Na2COs + 1. 7 OmM NaHCOg 再生液: 0. 025N H2S04
検出器:電気伝導度
流速 ·· 1. 5m 1 /m i n
サプレッサ一:マイクロメンブレンサプレッサ一
6) 色相測定:カラ一 L値、 b値
ァ) ポリマーペレツト:
10-10 Omg/個のサイズのポリマ一ペレットを J I S K7105の方 法にならって、 日本電色 (株) 製 Ζ— 1001DP色差計により測定した。 ィ) ビスフエノール Αプリルの色相
ポリマーペレットの色相にならい、 日本電色 (株) 製 Z— 1001DP色差 計により測定した。
7) ポリマーペレット色相耐久性
厳しい温度、 湿度条件下でのポリ力一ポネートの耐久性を試験するため上記ポ リカーポネートペレットを 10分割した試料を温度 80°C、 相対湿度 85%の恒 温恒湿槽内で 1, 000時間保持した後、 ポリマーカラー b値を測定した。
耐久テスト後の 10試料のポリマーカラーの最良値と最悪値の差の絶対値でポ リマーカラーの変動のパラツキ AbM ax— M i nを求めた。
また耐久テスト前後での力ラ^" b値の差の絶対値より、 力ラ一安定性△ bを求 めた。
これらの値が小さいほどポリマーペレツト色相耐久性が良好である。 これらの 値が 0. 5以下であれば厳しい温湿度条件下での長時間使用に対しても耐える所 望の色相耐久性を保持しているものと評価した。 また 1を超えるものは好ましく
ないと評価した。
8) フエノール性〇H末端基濃度 (モル%)、 フエノ一ル性 OH末端基数 (当量 /t on— PC)
ァリールォキシ末端基濃度 (モル%)、 ァリールォキシ末端基数 (当量 Zt o n— PC) の定量
ポリマー試料約 0. 028を0. 4m 1の重クロロフオルムに溶解、 20°Cで 1H— NMR測定装置 (日本電子 (株) 製 EX— 270) を用いて、 全末端数 に対するフエノール性 OH末端基濃度 (モル%)、 およびフエノール性 OH末端 基数 (当量 t on— PC) を測定した。
またァリールォキシ末端基濃度 (モル%) は 100—フエノ一ル性 OH末端基 濃度 (モル%) により、 ァリールォキシ末端基数 (当量 Zt on— PC) は次式 で求めた全末端基数とフエノ一ル性 0 H末端基数の差として計算した。
全末端基数 (当量 Zt on— PC) =56. 54/ [ ] 1· 4338
9) ポリマー副反応量:
上記 1H— NMR測定により、 δ = 0から 10の間に見られる、 ポリ力一ポネ ―ト本来のピーク以外のピークが重合中生起した分解、 分岐などの副反応生成物 に由来するものと判断し、 該ピーク強度の 1, 024回積分値とポリ力一ポネ一 トメチル基ピーク強度との比を測定、 この値が 1. 0 X 10_2以上であると副 反応が多いと判断した。
10) [原料の精製例]
a) ビスフエノール A (以下 BP Aと略称することがある) の精製
a) —1 :減圧装置、 冷却装置を備えた耐圧容器に市販ビスフエノール A (精 製前; GB) を仕込み、 窒素雰囲気下、 圧力 13. 3Pa (0. lTo r r) 以 下、 温度 140 にて昇華精製を行った。
昇華精製を合計 3回繰返し精製した精製ビスフエノール A (cB)、 4回繰返 した精製ビスフエノール A (dB) を得た。
a) -2 水素添加処理
上記精製ビスフエノール A (cB) 100重量部を電子工業用高純度メタノー
ル 1, 000重量部に溶解し攪拌装置を付設したォ一トクレーブに仕込み、 水素 添加触媒、 lwt%パラジウム担持活性炭素 1重量部を仕込み、 水素圧 1. 0 a tm (0. IMPa), 反応温度 5 O で 5時間反応させた。 反応後触媒を分離、 溶媒を減圧下除去し, 精製ビスフエノール A (eB) を得た。
この精製ビスフエノール A (eB) にさらに 1回、 上記条件により昇華精製を 行い、 精製ビスフエノール A (f B) を得た。
これら原料および精製ビスフエノール Aの純度を表 1中に記載する。
BPA 不純物
アルデヒド量カルホ'ン酸量 金属不純物量: ( PPb)
BPA種類 記号
当量/ W当量/
Na Fe Cr Mn Ni Pb Cu Zn Pd In Si Al Ti トモル BPA トモル BPA
原料 BPA GB 12 8 86 60 5 4 8 5 1* 11 1* 7 25 22 1* 昇華精製 X 3回 cB 7 6 5 15 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 2 1* 1* 昇華精製 X 4回 dB 5 6 5 8 1* 1* 1* 1 * 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* cB+水素添加 eB 1以下 3 7 10 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* eB+昇華 (水素添加) fB 1以下 2 6 8 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1* 1 1 1*
1 *: lppb以下
a) — 3
ビスフエノール Aの次亜リン酸誘導体処理
精製ビスフエノール A (f B) 100重量部を 3w t %次亜リン酸水溶液また は 1 w t %次亜リン酸ナトリゥム水溶液 2000重量部に 25°C/10時間浸漬 した。 ビスフエノール Aを分離後、 窒素ガス雰囲気下、 98でノ蒸留水 2, 00 0重量部で 5時間洗浄した。 洗浄操作を合計 5回繰返し、 真空乾燥し、 各々精製 ビスフエノール A (fB*)、 精製ビスフエノール A (f B* *) を得た。
b) ジフエ二ルカーポネート (以下 DP Cと略称することがある) の精製。 b) -1 原料 DPC (GD) を 「プラスチック材料講座 17 ポリカーボ ネート 著者 立川利久ほか (日刊工業出版社)」 45ページ記載の方法に従い、 温水 (50°C) 洗浄を 3回繰返し、 乾燥後、 減圧蒸留 167〜168°C/2. 0 OkPa (15mmHg) の留分を採取し、 蒸留 DP Cを得た。 得られた蒸留 D PCを減圧装置、 冷却装置を備えた耐圧容器に仕込み、 窒素雰囲気下 13. 3P a (0. lTo r r) 以下、 80°Cで昇華精製を 1回行い精製 DPC (bD) を 得た。
b) -2 水素添加処理
蒸留 D PC100重量部を電子工業用高純度テトラヒドロフラン 500重量部 に溶解し、 攪拌装置付設ォ一トクレーブに仕込み、 水素添加触媒として 1 w t % パラジウム担持活性炭素 1重量部を仕込み、 水素圧 1. 0 a tm、 (0. IMp a) 反応温度 5 O :で 5時間反応させた。 反応後触媒を分離、 溶媒を減圧下除去 し DPCを回収した。 得られた DPCにさらに 1回、 上記昇華精製を実施し、 精 製 DPC (cD) を得た。
これら原料および精製 DP Cの純度を表 2中に記載する。
表 2
1*: ippb以下
11) ビスフエノール Aプリルの成形
a) 精製ビスフエノール A (f B) を窒素雰囲気下、 170°Cに加熱溶解し、 半径 0. 3mmノズルより流出、 滴下させ液滴を作成、 77Kの冷却窒素ガスと 向流接触、 冷却速度 100で Zs e c以上で冷却した。 0. 2mm以下、 3mm 以上のプリルを篩い分け除去し、 平均粒径 1· 5mmのプリル (fB— a) を得 た。
b) 上記ノズル半径 0. 3111111を0. 5 mmに替え、 溶解ビスフエノール A f Bを 0. 3 mmノズルょり流出、 滴下させ液翁を作成、 77 Kの冷却窒素ガス と向流接触、 冷却速度 100 /s e c以上で冷却した。 直径 0. 2 mm以下、 3 mm以上のプリルを篩い分け除去し、 平均粒径 1. 5 mmのプリル (f B— b) を得た。
c) プリル (f B— b) と同様にして但し、 0°Cの冷却窒素と向流接触させ、 冷却速度 10 O^Zs e c以下で冷却した。 0. 2 mm以下、 3 mm以上のプリ ルを篩い分け除去し平均粒径 1. 5 mmのプリル (f B— c) を得た。 結果を表 3に記載する。
12) 比表面積 (m2/g)
B E T比表面積測定法により測定した。
装置: 日本ベル (株) 製 高精度全自動ガス吸着装置 「BELSORP 36」 吸着ガス: Kr
死容積: He
吸着温度:液体窒素温度 (77K)
測定前処理: 50で、 減圧脱揮 (到達真空度〜 1 P a)
測定モード:等温での吸着
測定範囲:相対圧 (P/P0) =0. 01〜0. 4
平衡時間-各相対圧につき 1.80 s e c
測定:試料約 0. 2 g〜 0 · 5 gを島津精作所 (株) 製電子天秤 AE L 200で 精秤後、 試料管に封入、 測定、 BET理論を適用、 同理論が成り立ち、 BETプ
ロットが直線となる相対圧 (? ?0) 範囲0. 05〜0. 30の範囲で解析、 比表面積を (m2/g) を計算した。 結果を表 3に記載する。
13) 細孔容積 (ml/g)
マイクロメリテックス社製ポアサイザ一 9320
測定圧力: 0. 37 kP a〜207MP a (細孔直径 7 ηπ!〜 400 m) 測定モード:上記圧力範囲の昇圧過程
セル容積: 5cm3
測定 n数: 1および 2
測定:試料 0. 2〜1. 2gを精秤、 セルに入れ、 減圧下、 水銀を圧入、 試料粒 子の変形、 粒子間隙を考え細孔半径 100 ηπ!〜 6 mにっき細孔容積を求めた。 結果を表 3に記載する。
表 3 粒径 0.1-3誦
平均粒径 比表面積 細孔表面積 カラ-
BPAフ。リル名称 原料 BPA rリル生成条件 wt%
腿 m2/g . ml/g L値 b値
GB-0 巿販 BPA GB 2.7 97 0.25 0.14 81 2.1 fB-a (a) 1.5 100 0.09 0.03 87 0.1 fB-b (b) 2.2 100 0.12 0.05 87 0.5 精製舰 fB
fB-c (c) 2.3 100 0.21 0.11 86 1.5 fB-O(fB) 無し 粉末 70wt¾¾T 0.23 0.12 78 1.4
14) 分光安定性
紫外/可視吸収スぺクトルの測定
測定装置:島津製作所 (株) 製 UV— 2400PC
測定セル:石英セル 光路長 (1) 1 cm
測定: ポリ力一ポネート約 0. 73 gを精秤、 塩化メチレン 1 OmLに溶 解 (試料 A)
試料 Aを塩化メチレンにて 1Z10に希釈したもの (試料 B)、 および試料 A を塩化メチレンにて 1/1 00に希釈した試料 (試料 C) を作成、
レファレンス:溶媒 (塩化メチレン)
試料 A:波長 290 nm〜500 nm
試料 B:波長 275 nm〜27 5 nm
試料 C:波長 200 nm〜30 0 nmの範囲で測定、 吸光度 (A) を求め、 吸光 係数 (ε) を Α= ε XCX 1 (C :ポリマ一濃度、 1 :光路長) により計算し た。
260 nmのベンゼン環に由来する吸収ピーク吸光度: ε 1 で波長 400 nm および 430 nmの吸光係数 ε 2、 ε 3の平均値: ε 4を除した値を分光安定性 と規定した。
この値が 20 X 1 0— 6より大きいとポリマーのカラ一 b値が不良であるとと もに、 色相耐久性もまた不良である。 好ましくは分光安定性は 7 X 1 0— 6以下 である。
実施例 1
ポリカーボネートの製造は以下のように行った。 攪拌装置、 精留塔および減圧 装置を備えた反応槽に、 表 1記載の精製ビスフエノール A (f B) を 1 37重量 部、 表 2記載の精製 DP C (cD) を 1 35重量部仕込んで、 窒素雰囲気下 1 8 0。Cで溶融した。 溶解後、 表 4記載の触媒:次亜リン酸ナトリウム A 1 ; 5. 3 X I CI—5重量部、 テトラメチルアンモニゥムヒドロキシド B 1 ; 5. 46 X 1 0— 3重量部を添加、 4 O RPMの回転速度で攪拌しつつ、 反応槽内を 1 3. 3
3 kP a (10 OmmH ) に減圧し、生成するフエノールを留去しながら 20 分間反応させた。 次に 200°Cに昇温した後、 フエノールを留去しつつ、 さらに 徐々に減圧度を高め、 4. 000 kP a (3 OmmHg) まで減圧した後、 20 分間反応させた。 さらに徐々に昇温、 220 °Cで 20分間、 240でで 20分間 反応させた。 次いで反応混合物の温度を 260 に昇温、 同温度で 20分間反応、 その後 270 °Cに昇温、 攪拌速度 3 ORP Mで、 徐々に減圧度を高め 2. 666 kP a (2 OmmHg) で 10分間、 さらに 1. 333 kPa (1 OmmHg) で反応を継続した。 粘度平均分子量がほぼ 8, 000に成った時点で攪拌速度を 20RPMに変更し、 最終的に 270で 66. 7 (0. 5mmHg) で粘度平 均分子量がほぼ 15, 300になるまで反応させた。
その後溶融粘度安定剤として 2, 4, 6—トリメチルベンゼンスルホン酸テト ラブチルホスホニゥム (以下 TMBSPと略称することがある。) 4. 12X 1 0一4重量部を添加、 260^766. 7 (0. 5mmHg) で 10分間攪拌し た。 最終的に粘度平均分子量 15, 400, 0H末端基数 85 (eq/t on -ポ リカーボネート)、 溶融粘度安定性 0のポリ力一ポネートを得た。
その他の物性を含め、 結果を表 4に記載する。
比較例 1~4
表 4中記載の、 ビスフエノール A、 DP :、 触媒、 溶融粘度安定剤を使用し、 実施例 1と同様にしてポリカーボネートを製造した。 最終的に表 5記載のポリ力 —ポネートを得た。 その他の物性を含め、 結果を表 4および以下の表 5に記載す る。
実施例 2〜 14
表 4中記載の、 ビスフエノール A、 DPC, 触媒、 溶融粘度安定剤を使用し、 実施例 1と同様にしてポリカーボネートを製造した。 結果を表 4に記載する。 なお個別には記載してないが、 実施例 2〜14の実験結果において、 0H末端 基数は 85±3 (e d/t on-ポリカーボネート)、 溶融粘度安定性 0であつ た。
粘度平均分子量 20, 000以下のポリカーボネートの色相はポリマーカラ一
b値で評価される厳しい評価が求められている。 したがって色相良好なポリカー ポネートの製造を目的とする本発明ではポリマ一ペレツ卜のカラー b値が 0. 1 を超えるとポリマーの色相が黄色を帯びてくるため不合格と判断した。 . b値が 0. 1未満であると黄色味が少なく合格と判断した。 結果から理解されるように従来 の原料に比較し、 アルデヒド含有量を 0. 3 当量 Zビスフエノール Aおよび D PCに抑えた、 DPC, ビスフエノール Aを重合原料に使用した場合ポリ力一ポ ネートペレツトの b値が小さくマイナス値を示し黄色味がとりわけ少なく、 色相 良好と判断した。
実施例 15および比較例 5
各々実施例 1および比較例 2において粘度平均分子量 22, 500になるまで 重合を継続、 この時点で末端封止剤: 2—メトキシカルポニルフエニル フエ二 ルカーボネート (以下 SAMと略称することがある) 2. 1重量部を添加、 26 O 133. 3P a ( 1 mmHg) で 10分間攪拌した。 その後溶融粘度安定 剤として DBSP 5. 26 X 10— 4重量部を加え、 260で Z66. 7 P a (0. 5 mmHg) で 10分間攪拌した。 最終的にそれぞれ粘度平均分子量、 末 端 OH基数 (e q/t on-ポリ力一ポネート)、 溶融粘度安定性は 22, 600 /22, 500、 30Z32、 0/0のポリ力一ポネートが得られた。
その他に物性を含め、 結果を表 4に記載する。
表 4
表 4 (つづき)
蘭金属触媒 Al :次亜リン酸ナトリウム、 A2 :水酸化ナトリウム、 A3 :ナトリウムフエノキシに A4:酢酸ナトリウム、 A5 :ステアリン酸カリウム、 A6 : ゥムホ 'ロヒドリト'、
A7:ビスフエノ -ル- A y ナトリウム塩、 A8 :水酸化セシウム、 A9:次亜リン酸カリウム, A10:次亜リン酸リチウム、
塩基性化合物 B1:テトラヌチルアンモニゥムヒド口キシド、 B2:テオラフ'チルホスホニゥムヒド Πキシド、 B3 :テトラ; ίチルアンモニゥムテトラフエ二ルホ'レ-ト、 Β4:次亜リン酸テトラブチルホスホニゥム
Β5:次亜リン酸テトラフ'チルホスホ::ゥム、 Β6:次亜リン酸テトメチルアンモ::ゥム、 Β7:次亜リン酸テトラブチルアンモ::ゥム
溶融粘度安定化剤 DBSP:ド τ シ Kンセ'ンスルホン酸 ϊトラフ'チルホスホニゥム、 TMBSP: 2, 4, 6-トリ チ Kンセ'ンスルホン酸テトラフ'チルホスホニゥム、
BSP:へ'ンセ'ンスルホン酸テトタ チルホスホニゥム、 SABP:硫酸 ビス (テトラブチルホスホニゥム)
表 5
表 6中記載の DPC、 ビスフエノール A、 触媒、 溶融粘度安定剤を使用し実施 例 1と同様にしてポリカーボネートを製造した。
結果を表 6に記載する。
なお個別には記載してないが、 実施例 16〜22の実験結果において、 OH末 端基数は 85±3 (e q/t on-PC), 溶融粘度安定性は 0であった。
前述したごとくポリマーカラー b値が粘度平均分子量 20, 000以下のポリ カーボネートの色相に閧し表 5中記載の結果から理解されるように従来の原料に 比較し、 アルデヒド含有量を 0. 3 当量 Zビスフエノール Aおよび DP Cに抑 えた、 DPC、 ビスフエノール Aを重合原料に使用するとともに次亜リン酸化合 物を重合触媒として使用したポリカーボネートペレットの b値は、 一段と良好で あり、 透明性、 厳しい色相が要求される光学用途に対して一層好ましいものと判 断した。 さらに次亜リン酸化合物で処理したビスフエノール Aを使用した場合一 層良好な色相を与えること容易に理解される。
かかる良好な色相のポリカーボネートは光学用途に使用するとき、 その良好な 色相がより一層良好に発揮されるる利点が大きい。
実施例 23、 24
表 6中記載の DPC、 ビスフエノール A、 触媒、 溶融粘度安定剤を使用し実施 例 1と同様にして溶融粘度 22, 500になるまで重合を継続した。 この時点で 末端封止剤: 2—メトキシカルポニルフエニル フエ二ルカーポネート (以下 S
AMと略称することがある) 2. 1重量部を添加、 260。CZ133. 3 P a ( 1 mmH g ) で 10分間攪拌した。 その後溶融粘度安定剤として D BSP 5. 26 X 10— 4重量部を加え、 260°C/66. 7 P a (0. 5mmHg) で 1 0分間攪拌した。 最終的にそれぞれ粘度平均分子量、 末端 OH基数 (e d/t o n-ポリカーボネート)、 溶融粘度安定性は 22, 500/22, 600、 30/3 2、 0ノ 0のポリカーボネートが得られた。
その他に物性を含め、 結果を表 6に記載する。
表 6 実施例 16実施例 17実施例 18実施例 19実施例 20実施例 21実施例 22実施例 23実施例 24 cD cD cD cD cD cD cD cD
BPAS fB fB fB fB fB fB* fB** fB** fB 触媒
アルカリ金属触媒系
A8 A9 A10 A9 A10 Al Al Al A2 量: (XI 0—5重量部) 6.3 3.1 4.3 4.4 4.4 5.3 5.3 5.3 2.4
( モル/ ΒΡΑ) 0.7 0.5 1 0.7 1 1 1 1 1 塩基性化合物
B2 TBAH B2 B5 B6 B6 B7 B6 Bl 量:(Χ1(Γ3重量部) 7.8 12.4 24.8 19.4 13.8 13.8 18.4 13.8 5.5
( モル/ ΒΡΑ) 50 80 150 100 100 100 100 100 100 溶融粘度安定化剤
DBSP DBSP DBSP DBSP DBSP DBSP DBSP DBSP DBSP
量:Χ10-4重量部 3.68 2.5 5.3 3.7 5.3 5.3 5.3 5.3 5.3 物性
粘度平均分子量 13,200 15,400 15, 300 15,500 15, 400 15,300 15, 500 22, 500 22, 600 色相 ( レット L値) 65 65 65 65 64 65 65 65 64 色相 ( レット b値) -0.6 -0.9 - 0.9 -0.9 - 0.9 -1.0 - 1.1 -0.3 0.4 副反応率(X10—2) 0.1以下 0.1以下 0.1以下 0.1以下 0.1以下 0.1以下 0.1以下 0.1以下 0.3
実施例 25〜 28
表 7中記載の DP C、 ビスフエノール Aおよびビスフエノール A、 プリル、 触 媒、 溶融粘度安定剤を使用し実施例 1と同様にしてポリカーボネートを製造した。 結果を表 7に記載する。
なお個別には記載してないが、 実施例 25〜 28の実験結果において、 〇H末 端基数は 85±3 (e q/t on-PC), 溶融粘度安定性 0であった。
本実験結果より理解されるようにビスフエノール A粒子径 0. 2〜3mm、 比 表面積 0. 05-0. 2 g/m 細孔表面積 0. 01〜0. lmLZg、 カラ — b値≤ 2のビスフエノ一ル Aプリルを使用したとき厳しいポリマーカラーが要 求される粘度平均分子量 20, 000以下のポリカーボネートに対しても有利に 対応できる。
さらに本発明のビスフエノール Aプリルを使用することによりポリカーボネー トペレットの色相耐久性を有利に向上させうることを発見した。
ペレットは長期にわたり保管されることがあり、 色相の変化が問題にされるこ とがあるため、 色相耐久'性向上の意義は大きい。
実施例 29〜31
表 7中記載の DP C、 ビスフエノ一ル Aおよびビスフエノ一ル Aプリル、 触媒、 を使用し実施例 1と同様にして粘度平均分子量 22, 500に成るまで重合反応 を継続した。 この時点で末端封止剤: SAM 2. 1重量部を添加、 260で 1 33. 3Pa (ImmHg) で 10分間攪拌した。 その後溶融粘度安定剤として DBSP 5. 26 X 10—4重量部を加え、 260で/66. 7 P a (0. 5m mHg) で 10分間攪拌した。 最終的にそれぞれ粘度平均分子量、 末端〇H基数 (e Q/t on-ポリカーボネート)、 溶融粘度安定性は 22, 500/22, 40 0/22, 500. 30/32/30、 0/0/0のポリカーボネートが得られ た。
その他の物性を含め、 結果を表 7に記載する。
表 7 実施例 25 実施例 26 実施例 27
DPC種類 cD cD cD
BPA種類 fB-b fB-b fB-b 謹
アルカリ金属触媒系
A7 A7 A7 量:(X 10—5重量部) 8.2 8.2 8.2 モル/ BP A) 1 1 1 塩基性化合物
Bl Bl Bl 量:(X103重重部) 5.46 5.46 5.46
(βモル/ BP A) 100 100 100 溶融粘度安定化剤
DBSP DBSP DBSP
量: XI 0-*重量部 5.26 5.26 5.26 物 'K
粘度平均分子量 15,300 15,200 15,400 色相 (Λ。レット it) 65 65 65 色相 ( レット b値) - 0.9 - 1.0 -1.0 副反応率(X10-2) 0.1以下 0.1以下 0.1以下 ぺレット色相耐久性
0.5 0.5 0.4
AbMax-Min 0.4 0.4 0.4 分光安定性 (X10-6) 4 3 3
表 7 (つづき) 実施例 28 実施例 29 実施例 30 実施例 31
DPC種類 cD cD cD cD
BPA種類 fB-c fB fB - a fB-b 触媒
アルカリ金属触媒系
種類 A7 Al Al Al 量:(X 5重量部) 8.2 5.3 5.3 5.3
( モル/ BPA) 1 1 1 1 塩基性化合物
Bl Bl Bl Bl 3
( モル/ BPA) 100 100 100 100 溶融粘度安定化剤
種類 DBSP DBSP DBSP DBSP 量: X 1(Γ4重量部 5.26 5.26 5.26 5.26
Wl土
粘度平均分子量 15,300 22, 500 22,400 22, 500 色相 (へ。レット L値) 65 65 65 65 色相 (へ。レット b値) -0.7 0.5 -0.1 -0.1 副反応率(X10—2) 0.1以下 0.2 0.1以下 0.1以下 レット色相耐久性
Ah 0.7 1 0.4 0.5
AbMax-Min 1.1 1.2 0.5 0.5 分光安定性 (X10— 6) 8 9 3 3
ディスク成形評価
実施例 32、 比較例 6
実施例 1および比較例 1で得られたポリ力一ポネ一トにトリス (2, 4, 6— ジ— t e r t—ブチルフエニル) ホスファイトを 0. 01重量%、 グリセロ一ル モノステアレートを 0. 08wt%添加した。 次いで該組成物をベント式二軸押 出機 (神戸製鋼 (株) 製 KTX— 46) によりシリンダー温度 240で脱揮しな がら溶融混練し、 ペレット化した。 このペレットを用いて DVD (DVD-V i de o) ディスク.基板を成形し、 基板の温湿度劣化試験を行った。
射出成形機、 住友重機械工業製 D I SK3 M ΙΠに DVD専用の金型を取 り付け、 この金型にアドレス信号等の情報の入った、 ニッケル製の DVD用ス夕 ンパーを装着し、 上記ペレットを自動搬送にて成形機のホッパーに投入し、 シリ ンダー温度 380 :、 金型温度 115°C、 射出速度 20 Omm/s e c、 保持圧 力 3, 432kPa (35 kg f/cm2) の条件で直径 120mm、 肉厚 0. 6mmの DVDディスク基板を成形した。
長時間で厳しい、 温度、 湿度条件下での光ディスクの信頼性を試験するために、 芳香族ポリ力一ポネート光ディスク基板を温度 80°C, 相対湿度 85%で 100 0時間保持した後、 以下の測定により基板を評価した。
白点個数 (個/枚):偏光顕微鏡を用いて温湿度劣化試験後の光ディスク基板 を観察し、 10 m以上の白点が発生する数を数えた。 これを 25枚の光デイス ク基板について行い、 ディスク一枚当りの平均数を求めこれを白点個数とした。 その結果、 実施例 16、 比較例 6の白点数は各々 0. 1個、 および 4. 6個 Z 枚であり本願発明ポリカーボネ一トの安定性が良好なことが理解される。
参考例 1、 2 (界面重合法によるポリカーボネート製造例)
ホスゲン吹き込み管、 温度計および攪拌機を設けた容量 5 Lの反応槽に、 原料 ビスフエノール A (参考例 1)、 あるいはビスフエノール Aプリル (f B— a; 参考例 2) を 502. 8 g (2. 21モル)、 7. 2 %水酸ィ匕ナトリウム水溶液 2. 21L (水酸化ナトリウム 4. 19モル) およびハイドロサルファイトナト
リウム 0. 98g (0. 0056モル) を仕込んで溶解し、 攪拌下、 塩化メチレ ン 1, 27 Lおよび 48. 5%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 (水酸化ナトリウム 0. 98モル) を加えた後、 ホスゲン 250. 80 g (0. 253モル) を 25°Cで 180分間かけて加え、 ホスゲン化反応を行った。
ホスゲン化終了後、 p— t e r t—ブチルフエノール 17. 51 g (0. 11 7モル) および 48. 5 %水酸化ナトリゥム水溶液 80. 40 g (水酸化ナトリ ゥム 0. 97モル) および触媒としてトリェチルァミン 1. 81mL (0. 01 3モル) を加え、 33°Cに保持し 2時間攪拌して反応を終了させた。 反応混合物 より塩化メチレン層を分離し、 水洗を 10回繰返し塩化ナトリゥムが検出されな くなるまで精製して、 粘度平均分子量 15, 300のポリカーボネートを得た。 得られたポリ力一ボネートにトリス (2, 4—ジ一 t e r tブチルフエニル) ホ スフアイトを 0. 0 lwt %、 グリセロールモノステアレートを 0. 08wt% を加え二軸押出機により混練、 ペレット化した。
參考例 1ではカラ一 b値 1. 1に対し、 参考例 2ではカラー b値— 0. 4と良 好であった。
実施例 33
上記実施例 15の芳香族ポリ力一ポネートを、 重合後溶融状態を保ったまま、 ギアポンプで定量供給し、 成形機の Tダイに送液、 押出し成形を行った。 このと きギアポンプの手前からビス (2, 4—ジ一 t e r tブチルフエニル) ペンタエ リスリトール ジホスファイトを 0. 003wt %加え、 鏡面冷却ロールと鏡面 冷却ロールで挟持、 または片面夕ツチで厚さ 2 mmまたは 0. 2mm、 巾 800 mmのシートを成形した。
得られた芳香族ポリカーボネートシート (厚み: 2mm) の片面に可視光硬化 型プラスチック接着剤 [(株) ァーデル製 BENEF IX PC] を塗布し、 同シートを 2枚を気泡が入らないように押出し積層した。 積層後、 可視光線専用 メタルハラィドランプを具備した光硬化装置により 5, 00 OmJZcm2の光 を照射し接着層を硬化した。
得られた積層板の接着強度は J IS K- 6852 (接着剤の圧縮せん断強さ
の試験方法) に準拠して測定した結果、 9. 92 MP a (10 lKg f /cm 2) であり問題ないことがわかった。
一方厚み 0. 2 mmの芳香族ポリカーポネ一トシ一トにィンキ [ナツダ 70— 9132 :色 136 Dスモーク] および溶剤 [イソフォロン シク口へキサン / イソブ夕ノール =40/40ノ 20 (wt )] を均一に混合し、 シルクスクリ ーン印刷機で印刷を行い、 100°Cで 60分間乾燥させた。 印刷されたインキ面 は転写不良もなく、 良好に印刷できた。
別に 1, 1—ビス (4—ヒドロキシフエニル) シクロへキサンとホスゲンとを 通常の方法で界面重縮合させて得られたポリ力一ポネート棚旨 (比粘度 0. 89 5、 Tg 175で) 30重量部、 染料 P 1 a s t Re d 8370 (有本化学 工業製) 15重量部、 溶剤ジキサン 130重量部を均一に混合溶解した印刷用ィ ンキで印刷されたシート (厚み: 0. 2mm) を射出成形金型内に装着し、 ポリ 力一ポネ一ト樹脂ペレツト (パンライト L— 1225 帝人化成 (株) 製) を用 いて 310 の成形温度でインサート成形を行った。 インサート成形後の成形品 の印刷部パターンに滲み、 ぼやけなどの異常もなく良好な印刷部外観を有したィ ンサート成形品が得られた。
実施例 34〜40
上記実施例 30の芳香族ポリカーボネートを、 重合後溶融状態を保ったまま、 ギアポンプでェクストルーダーに液送した。 ェクストルーダー途中でトリス (2, 4—ジ一 t e r t—ブチルフエニル) ホスファイトを 0. 003wt%、 トリメ チルホスフェートを 0. 05wt%加え、 芳香族ポリカーボネートペレットを得 た。
このペレツトおよび表 8および 9中記載の各成分を、 タンブラ一を使用して均 一に混合した後、 3 Ommci)ベント付二軸押出機 (神戸製鋼 (株) 製 KTX— 30) によりシリンダー温度 260° (:、 ベント圧 1. 33 kP a (l OmmH g) で脱気しながらペレツトイ匕した。 得られたペレツトを 12 Otで 5時間乾燥 後、 射出成形機 (住友重機械工業 (株) 製 SG150U型) を使用して、 シリ ンダー温度 270°C、 金型温度 80での条件で測定用の試験片を作成し下記の評
価を実施した結果を下記表 8および表 9に記す。
表 8
表 9
夭肥 リ 夭ノ JCiT?リ VJ 実施例 30 八 八
のホ。リカ-ホ'ネ-ト 70 70 +
PBT 「 籠% 30 5
PET q に
C3 ol 里甫兽里3 ¾ 100 100 100
E— 1 重量部 5 5 組成
E-2 重量部 5
G 里部 20
W 重量部 10
T 重量部 10
WAX 重量部 1 1 曲げ弾性率 MP a 5, 800 3, 600 3, 450 特性 耐薬品性 % 88 86 84 ノッチ付衝撃値 J/m 220 550 510
①ー 1 ABS :スチレン一ブタジエン一アクリロニトリル共重合体;サンタツ ク UT— 61 ;
三井化学 (株) 製
①一 2 AS :スチレン一アクリロニトリル共重合体;スタイラック一 AS 7 67 R27 ;
旭化成工業 (株) 製
①一 3 PET:ポリエチレンテレフ夕レート; TR— 8580;帝人 (株) 製、 固有粘度 0. 8
①一 4 PBT:ポリブチレンテレフタレ一ト; TRB— H;帝人 (株) 製、 固 有粘度 1. 07
②一 1 MBS :メチル (メタ) ァクリレート一ブタジエン一スチレン共重合 体;カネエース
B-56 ;鐘淵化学工業 (株) 製
②— 2 E-1 :ブタジエン一アルキルァクリレート—アルキルメタァクリレー 卜共重合体;
パラロイド EXL— 2602 ;呉羽化学工業 (株) 製
②— 3 E-2 :ポリオルガノシロキサン成分およびポリアルキル (メタ) ァク リレートゴム成分が相互侵入網目構造を有している複合ゴム;メタプレン S— 2 001 ;三菱レイヨン (株) 製
③一 1 T:タルク; HS— TO. 8 ;林化成 (株) 製、 レーザー回折法により 測定された平均
粒子径 L = 5 m、 L/D=8
③一 2 G:ガラス繊維;チョップドストランド ECS— 03T— 511 ; 日本 電気硝子 (株) 製、 ウレタン集束処理、 繊維径 1 S um
③ー 3 W:ワラストナイト;サイ力テック NN— 4;巴工業 (株) 製、 電子顕 微鏡観察により
求められた数平均の平均繊維径 D-1. 5 m, 平均繊維長 17 111、 ァスぺク
ト比 L/D=20
④ WAX : α—ォレフィンと無水マレイン酸との共重合によるォレフィン系ヮ ックス;ダイヤカルナ一 P 30 ;三菱化成 (株) 製 (無水マレイン酸含有量 = 1 Owt %)
(A) 曲げ弾性率
ASTM D790により、 曲げ弾性率を測定した。
(B) ノッチ付衝撃値
ASTM D256により厚み 3. 2 mmの試験片を用いノッチ側からおもり を衝撃させ衝撃値を測定した。
(C) 流動性
シリンダー温度 250 °C、 金型温度 80 °C、 射出圧力 98. IMP aでアルキ メデス型スパイラルフ口一 (厚さ 2mm、 幅 8mm) により流動性を測定した。 (D) 耐薬品性
ASTM D 638にて使用する引張り試験片に 1 %歪みを付加し、 30°Cの エツソレギュラーガソリンに 3分間浸漬した後、 引張り強度を測定し保持率を算 出した。 保持率は下記式により計算した。
保持率 (%) = (処理サンプルの強度 Z未処理サンカレの強度) XI 00